Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

メスとナンシー

日曜日はフランス東部の街メスに、坂茂の設計で最近オープンしたポンピドゥー・センター・メスを見に行く。メンバーは河合さん、福地と、彼の後輩で旅行に来ている千葉大の4年生。


パリの東駅からTGVで90分、メスに降りるとどーんと構えている。建物まで来ると、建築学生の性で、構造や構法、素材などに目が行く。複雑な形状やボリュームの取り合いをとにかく気合入れて頑張って作ったという印象を受け、つい先日オランダで見たアルド・ロッシの上手く力の抜けた美術館とは対照的だと感じる。とはいえ構造の勉強になるし、テントの白い幕のような素材で覆われた湾曲屋根で明るさが確保されたホールは気持ちいい。

ところで、設計者にとっては名声が高まっていいだろうが、アイコニックな建物を都市づくりの起爆剤にする手法は二番煎じも三番煎じもしているなかで、メスの街がどのような戦略を描いているのかを知りたくなった。

館内の展示はパリの本家のポンピドゥー・センターのお下がりといったところ。僕たちとしては、近代から現代までの有名な美術館建築の模型が集まったコーナーに注意を引かれる。その中でも、SANAA妹島和世西沢立衛)の設計で2013年に完成予定のルーヴル・ランスの模型が、群を抜いて綺麗だった。これにはヨーロッパ人もキュンとなるのだろう。


昼からは近くの観光地の街ナンシーへ移動する。ここはアール・ヌーヴォーが生まれた街で、後から知ったがマカロン発祥の地でもあるらしい。電車の都合で福地の後輩とはお別れ。僕たちの帰りの電車は21時なので、小さなナンシーの街で時間をもてあます。

世界遺産に登録されているスタニスラス広場を中心に一回り歩く。夕方からはまた広場に戻り、カフェの屋外席で時間をつぶす。スタニスラス広場は建物や舗装の石の黄金色の色合いが美しく、落ち着いた気品の漂う一級の広場だった。3人で建築の話など延々と会話する。これくらいのんびりするのもたまにはいいな……そんなナンシーのひとときだった。