Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

いぶし銀

先日、近くに用事があったついでに、町田で一人で昼食を食べることになった。町田はラーメン激戦区ということで勇んでラーメン屋を探しはじめたが、運悪く閉店していたり休業中だったり…。昼の時刻もだいぶ過ぎ、昼ごはん難民になりかけたが、小田急線の線路沿いの道にある「いぶし銀」という店が開いていて、入れた。この店、メニューで煮干しラーメンを「ジャパン」、肉だしを「ターボ」と呼んでいたり、「124Ag」(124=いぶし、Ag=銀)とプリントされたTシャツを販売していたり、独自の個性と世界観を作り上げている。味のほうもたしかで、とても緻密で丁寧、うまい。ゆっくりと時間をかけて楽しみたい美味しさだ。

カウンターのふたつ右の端の席には、小ぎれいな身なりの男の人が座っていて、対象と話をしている。大将は男の人のことを「先生」と呼んでいて、会話から推測するに、この男の人は以前塾か家庭教師のバイトか何かで大将の子供を教えていたのだと思われる。「先生」は僕と年齢も職場の最寄駅も同じようなので親近感を持った。「また帰って来たときは顔出します」食べ終わった器を両手でカウンターに置き、そう言って先生は店を出て行った。彼が去って、僕が昼の営業時間の最後の客となった。じっくりとジャパンを味わい、お会計をして外に出る。いい店だった。こうした経験がひとつあるだけで、その街の印象がとても好ましく変わるから不思議だ。町田市出身の人に「神奈川県町田市ですよね?」と、お決まりのつっこみを入れることをやめはしないだろうけれど。