Weekend Note

2010年ブログ開設。日常、建築、旅行などについて書いています。

インフルエンザーたち

インフルエンザが流行っている。同じ案件を担当している上席の方もかかったし、他にもちらほらと感染情報を聞く。自分も、昨秋に予防接種を受けたとはいえ、細心の注意を払う必要がありそうだ。

ところで、職場の方からインフル感染の旨の報告がくるときの文面や言い方が、どことなく浮ついた調子を帯びていると思われるのは、気のせいだろうか。今月受け取ったメールの文面しかり、三年前、同じ物件を担当していた方からかかってきた電話しかり。でもこの現象、ちょっと微笑ましくも思う。
自分はインフルにかかったことはないが、罹患者の気持ちと行動の変遷を想像するに、どうも熱っぽい。まさか、インフルエンザ。感染していないなら、早く回復せねば。感染していて一週間休むことになるにせよ、プロジェクトの必要な情報は共有せねば。病院に検査に行く。陽性と判明した。いささかの自己嫌悪。しかし、かかってしまっものはしょうがない。開き直って、一週間ゆっくり休むとしよう。
このように、芥川龍之介などが短編小説で手際よく鮮やかに描き出してくれそうな内面のドラマがあることが推察される。しかも、それは終始、熱があってだるい体調において展開しているのだ。

そして葛藤の末にたどり着いた、堂々と一週間休むぞという開き直りが、メールの文面の細部や、笑いをこらえて自分を律しているかのような電話口の声音にあらわれる。繰り返すが、非難がましく思うより、微笑ましく思う。効率最優先のビジネスの場面に、強制的に別の論理が侵犯してくることの、妙な清々しさが、そこにはある。

先日、用事があって工務部のフロアを通りかかったところ、高校サッカー部の後輩で、会社では同期であるM野が、マスクを顔に貼りつけ、やや猫背でデスクトップの画面に向かっている。奥さんがインフルエンザになったみたいだけど、大丈夫? そう聞くと、実は俺も熱っぽいっす、病院に検査に行こうと思います。まじか、大変だな。そう答えながら、インフルエンザについてのくだんの考察を話してみると、M野、たしかにインフルエンザかなと楽しみにしている自分もいるわ、とニヤける。素直なやつめ、僕はそう思った。